ビームダンプでは100%ロスが仮定されており、人間がアクセスせず、十分な遮蔽体を置くことによって放射線の基準をクリアしたい。しかし12 GeV-PSのビームダンプとは異なり、大強度陽子ビームをフルダンプするためには4.2.3節で議論されるようにコア部分の発熱が深刻な課題となっている。冷却用の水配管等を配置した場合には必ず故障が懸念されるため、最悪の場合を考えた配置にする必要がある。また、現在の計画では第二期にK-hallが50 m延長される予定になっており、ビームダンプを下流に移設しなければならない。これについては4.2.4節で説明される。以上の理由により、ダンプの放射化見積もりは重要である。
図2.5に現在考えられているビームダンプコア部分のジオメトリを示す。銅のコア部分のテーパ形状で熱負荷を分散させ、外側を間接冷却するというのが基本方針である。冷却系の配管は銅の外側に配置されるであろうから、メンテナンスのためには銅表面とその外側のコンクリートの放射化を考えておけばよい。
図2.6にコア部の放射化を示す。銅の大きさを直径3 m程度にしておけば表面線量が1 mSv/hr程度となり、何とかメンテナンス可能な範囲に収まっていることがわかる。コア部分を含めたビームダンプ構造は現在検討を進めており、冷却系の設計と放射化見積もりは平行して行っていく。