ここではMARSコードで計算されたT1ターゲットでのエネルギー損失について述べる。図4.19にシミュレーションで用いられたT1ターゲットのジオメトリを示す。現在のデザインでは6 mm厚のNiディスクが9枚並ぶという構造になっており、ビームは円盤の端の部分に衝突する。しかし次章で説明される熱伝達計算の有限要素法でのメッシュの都合上、計算上ではビームは円盤の中心に当て、半径方向の分布を求めて熱伝達計算の入力とした。
図4.20にそれぞれの円盤ディスクでのエネルギー損失分布の半径依存性を示す。T1ターゲット上でのビームの大きさは3 mm四方としたため、r=3 mmのところでエネルギー分布が急激に下がっている。また、ビームの下流に行くほど2次粒子生成のため分布の大きさが広がっていくことがわかる。ディスク10枚分に落ちるエネルギーの総量は の陽子ビーム1パルス当たり約40 kJ程度であった。