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4.3.4 回転、冷却の機構

回転機構は、放射線性および放射線によって誘発されるオゾン、窒素酸化物、硝酸による腐食を考慮したものであることが重要である。また、回転速度は前述のように毎分85回転以上回転でき、その回転速度は遠隔操作盤上で目視確認出来ることが必要となる。 冷却水循環システムの設計にあたっては一次ビームのエネルギー損失から、次のような仕様を定めた。

  1. 標的部の熱負荷は40 kJ/3.4秒(11.8 kW)と仮定する。
  2. 標的部はその一部を冷却水に浸すことにより除熱を行う。
  3. 従って、冷却水は標的に直接触れる一次循環系(汚染系)と熱交換機を通して一次循環系の除熱を行う二次循環系(非汚染系)とを設ける。
  4. 一次、二次循環水の最高温度は80$^{\circ}$C以上を越えないこと。
  5. 設置場所は、一次循環系は第一種管理区域内。二次循環系は、第一種または第二種管理区域内とする。放射線管理区域の区分は図を参照のこと。
  6. 配管およびポンプ等は放射線性および放射線によって誘発されるオゾン、窒素酸化物、硝酸による腐食を考慮したものであること。
  7. 年間に数回の冷却水の補充、交換を行っても良い。
  8. 循環冷却水の交換および標的下部に設けた液貯めからの回収に際しては、ビームライン標的部にその作業者が立ち入ることなく交換作業が出来ること。
  9. 一次循環系には標的およびその装置から析出する放射性物質を除去するためのろ過器を設置し、ろ過された放射性物質は循環装置から簡易に取り除くことが出来ること。
  10. 冷却水循環系の運転に異常を発生した時はその状況を遠隔で確認出来ると共に自動的に停止し、安全のためのインターロックシステムを作動出来る情報を取り出せること。
更に、安全システムとして、回転数、冷却水温度、流量、圧力について上下限を設定できると共に異常を発生した場合、安全のためのインターロックシステムを作動出来る情報を取り出せることも検討している。


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Yoshinori Sato
平成14年9月11日