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2.2.1 スイッチヤード

スイッチヤードには3箇所のロスポイントが設置される予定であり、それぞれ第1スプリット、T0、第2スプリットと呼ばれる。第1、第2スプリットでは2%、T0ターゲットでは0.5%のビームロスが仮定されている。従ってMARSのシミュレーションでは2%ロスに相当する3 mm厚のNiターゲットで評価する。

2.1にシミュレーションで用いたジオメトリの一例と計算結果を示す。ここでターゲットはZ=1000 cmのところに設置されており、ビームパイプは直径200 mm、厚さ5 mmのAl、標的から10 m下流に直径2 m、長さ2 mの鉄を置いて電磁石の代わりとした。トンネルの構造については図1.1に示されている構造に従った。

結果は図2.2に示すように、コリメータやシールドを大量に置いたにもかかわらず、30日運転、1日冷却後の電磁石の上流側の残留放射能はまだ数十mSv/hrと相当高く、作業者が容易に近づけるレベルではない。また、ビームダクトは1 Sv/hr程度と極度に放射化している。下流側の磁石表面はなんとか1 mSv/hr程度に下がっているため、水配管や電気ケーブルなど、人間がアクセスする機器はビームラインの下流側でかつできるだけビームダクトから離して取り設けるのがよいということがわかる。

ターゲットの下流側の放射化を低減するためには標的近くに金属のコリメータを置き、なるべくロスを局所化させることが重要だと思われる。しかし重い金属を置くことによって標的の横方向の放射線レベルが高くなり、土盛り境界での規制値をオーバーしてしまう恐れもある。このためトンネル内の構造や標的付近のトーチカ構造も取り入れて全体として規制値をクリアするような最適化を行なう必要がある。

図 2.1: 第1スプリット周辺のトンネル構造を模したMARS計算上のジオメトリ。灰色はコンクリート、赤色は鉄、緑色は土を示す。
split1.jpg
図 2.2: 第1スプリット周辺の放射化
sm1_resdose.jpg


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Yoshinori Sato
平成14年9月11日