K0ターゲットとKEKホーンの冷却方法は、ホーンではビームが冷却水中を通過するのに対し、K0ターゲットではビームが直接冷却水に触れない等違いはあるが、第1近似としてホーン冷却水中トリチウム濃度から加速器冷却水と同様にターゲット冷却水中トリチウム濃度を評価する。
ビーム損失は、K0ターゲット225 kW、ホーン冷却水5 kW、また冷却水量は、ホーン約200lでありK0ターゲットも同じと仮定すると、ホーン冷却水は60日運転で約370 Bq/ccトリチウム濃度が上昇しているので21日運転後のK0ターゲット冷却水上昇は、約5800 Bq/ccとなる。実際はもう少し上昇速度は遅いと思われるが、それでも21日運転後の濃度は、1000 Bq/ccのオーダーとなることが予想され、排水基準を超えるだけではなく、原子核素粒子実験施設で希釈することは困難である。
一方原研には、排水基準を超えた液体廃棄物を処理する施設があるが、液体廃棄物処理施設の能力は、1日の処理量8t以下、トリチウム濃度60〜1200 Bq/ccである。液体処理施設にターゲット冷却水の処理を依頼するためには、1200 Bq/cc以下に濃度を押さえることが必要になる。