前節におけるコネクタで唯一、無機絶縁化出来なかったのが、その信号ケーブルである。従来の技術では、数珠状のセラミックインシュレーターにより単線導体を覆ってしまう事により複線化したときの電気絶縁を行なってきた。EP1建設当時でも、導体表面をセラミックで被覆するなどの技術はあったが、絶縁劣化してきたコネクタ板全体を交換する手間に比べて非常に高価なものであり、導線の捩れや曲げに対する信頼性が低かったため採用するに至らなかった。
シース熱電対のインピーダンスを整えつつ、手作業によるハンドリング性能を上げるために外径0.5 mmという極細線化を行なった。それに伴い端末を真空封止しする技術はより高度化したが、その先端にFCI(旧称、日本バンディー)の丸型コネクタで使用しているコンタクトピンを付けることによって完全に無機絶縁化が完成した。作業は圧着加締め作業で行ない、作業の効率化とハンダを使用した際のフラックスからのアウトガスの除去と腐食を無くすことが出来た。図3.20はその極細線MIケーブルの外観である。外被はSUS316、芯線は無酸素銅またはニッケル線でから程度の太さまで製作可能である。これによって耐食性能、耐熱性能共に非常に優れた信号線が製作できる。また、FCIのコンタクトピンが利用できるMIケーブルのサイズは外径、、 mmで、それぞれの許容電流値は、1.2 A(0.75 A)、3.0 A(1.8 A)、6.0 A(4.4 A)である。許容耐電圧はそれぞれAC50 V,100 V、200 Vを満たし、十分に信号線及びモーターなどの駆動ラインとしての利用が見込めるに至った。