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2.3.1 SYのメンテナンスシナリオ

SYは上流側の加速器取り出し部とほぼ共通の構造を持つ8 m幅部と、下流の16 m幅部の二種類の構造を有する。それぞれにクレーンを有するが、サスペンション型なので8 m幅部のクレーンは16 m幅部まで走行可能である。また加速器の取り出しセプタム磁石部分をカバーできる部分まで上流に延長されている。SYのメンテナンスシナリオはこのクレーンを全面的に活用する事によって成立する。

クレーンは20トンのタイプが2基連動する形で運用される。揚程は3.5 mであり、ビーム高は1 m、天井高は6 mである。二機の吊り具間の距離は3.4 m程度である。電磁石の重量は一台あたり20-40トンであるから、2基のクレーンの連動による運搬が不可欠である。

磁石はあて板方式により、所定の場所に設置される。水、電力がクイックコネクタを介して母線から供給される。このクイックコネクタの着脱操作は人力でおこなう。電磁石温度スイッチは磁石側で直列配線し、その出力の二線のみがインターロックに参加するために磁石外へ引き出される。このコネクションもバナナプラグ様のクイックコネクタを用いる。これら水、電力、信号の供給・結合部分は磁石のビームに対して下流側に設ける。磁石の上流側は磁石設置後、磁石に密着する形で厚さ1 mの鉄$\cdot$コンクリート遮蔽を設ける。加速器側から見た場合、クイックコネクタ部(特に水配管接合)はこの遮蔽体の裏に保護される形となる。このような配慮を行えば、ターゲット直近以外では水コネクターに有機物ガスケットの使用が可能であるかもしれない。また遮蔽体は人間側に必ずコンクリートを配置し、作業者が鉄を直接見る事が無いように工夫する。これは磁石本体に関しても同様である。

真空ダクトは磁石本体に機械的に固定する。磁石と磁石の間の距離が大きい部分、あるいはビームモニター部分には、あらかじめ鉄、コンクリート遮蔽を施した専用真空ダクト、真空チェンバーを設置する。これらは磁石と同様の方法で設置される。このようにして設置された固定フランジ間を、真空クイックコネクタで結合してゆく。これには、現状ではラジアルシールの採用が検討されている。

上流から見て右側の壁面にラックが設けられ、電力ケーブルが敷設される。またその下部に水配管の母管が設置される。電力はラックまでは通常の難燃ノンハロゲン被服ケーブルを用いて配線されるが、ラックから磁石直近までは、床のピット内を銅バスバーを用いて配線する。また水冷配管は、基本的に2インチ配管であるが、これもピット中を通す。ピット内では、将来の水漏れの可能性のあるフランジ結合などをいっさい排除する。ピット上部には蓋が施され、その上を簡易運搬車が通行可能となるように配慮する。

以上の考え方を表したのが図2.7である。

図 2.7: SYメンテナンスシナリオ概念図
symaintainance.jpg


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Yoshinori Sato
平成14年9月11日