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電磁石は図7.3のような電磁石8D216MICを用いた。磁石のスペックは表7.1のとおりである。電磁石については10年来の努力の末、MICを用いて完全無機化、3500 Aの大電流を流すことに成功している。(1.3節を参照)
表 7.1:
8D216MIC電磁石の主なスペック
Gap [mm] |
100 |
Gap幅 [mm] |
400 |
長さ [mm] |
800 |
定格 |
3000A,33.1V |
外形 [mm] |
|
MIC断面外形 |
□24 |
総重量 |
約10トン |
クィックディスコネクトを実現するため、次の3点について磁石の改造を行った。
- ビームレベル調整のための調整板を下面につけた。下面で受ける場合、床自体が傾いたり、陥没したりして、ステアリング磁石で補正してもビームが通せないような事態を想定する必要がある。その際架台から作り直すと大きな放射化物を出す。そこで、ピボットつきの調整鉄板をつけ、調整の際にはこの鉄板だけを捨てて新しくビームレベルに合うような鉄板を作り、遠隔からピボットで取り付ける。その上に7.3節で述べる、あて板、ポール方式により遠隔から設置できる仕組みを使って電磁石を設置する。
- 磁石上面に厚さ約770 mmのシールドをつけた。磁石は放射化するので、メンテナンスする人間を被爆から守るためのシールドである。シールドの材質は、鉄ではサービスエリアの放射線レベルが逆に高くなってしまうので、アルミニウムやコンクリートなど比較的軽い材質から選んだほうがよい。今回は加工性を考え、アルミニウムを選択した。被爆軽減の観点からするとコンクリートの方がよいため、アルミニウムシールドが成功した後に、アルミニウムの箱にコンクリートを流し込むようなシールドも検討する予定である。シールドの中を通るケーブルは、水漏れを防ぐため、基本的に継ぎ目のない、あるいはすべてローづけのみで、シールド上面まで伸ばした。ケーブルとシールドの間の隙間には、金属スポンジを詰め、人間が直接ビームを見ないようにした。
- エンドガードに、真空ダクトを固定した。
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Yoshinori Sato
平成14年9月11日