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インターロックシステムの内人の安全に関わるPPSについては、全体制御グループ内に設けられたPPSサブグループで、大型加速器であるKEK-B(トリスタンを含む)、Spring-8及び高エネ研陽子加速器での経験等を踏まえ、検討されている。最終的には、個別のインターロック機器からロジックまでを総合した案が出されるが、現在はライナックや3 GeVリングの建設にあわせインターロック機器(非常停止ボタン、電気錠等)の個別機器の選定や、インターロックの二重化に伴うインターロックドアの設置場所等を中心に議論されており、ロジックの構築までには到っていない。また直接放射線に関係はしないが人の安全を担保する意味で、高電圧、酸欠等もPPSに含めて考えることも提案されている。以下に現在まで議論された内容を記すが、これらが全て既に合意されているわけではない。
- PPSの基本方針
PPSは、加速器全体で一本化したものを構築する。実験室に関しても基本的には統一したものとしたいが、運転制御のこともあり取りあえず加速器は全体で統一し、実験室との整合性については運転制御も含めしかるべき時期に議論する。
PPSは、ハード、ソフト両面において二重化する。特に加速器トンネルに直接つながる通路(非常口も含め)には、インターロックドアを二箇所設置し、一箇所に付き2個以上の開閉センサーを設置する。
運転停止期間を長期の場合と、短期(サイクル内のメンテナンスのための停止期間:リミットモードと呼ぶ)にわけ、インターロックを含めた、出入管理方式を変える。長期停止後の立ち上げ時には、退避確認を行うが、短期停止期間は、入域者を中央制御室で管理し、退避確認をしない。加速器トンネル入り口(汚染検査室の一角またはインターロックドアの手前等)に二重のドアに挟まれた空間を設け、入域者集団が、この領域で一旦立ち止まりインターホンで中央制御室に連絡し、中央制御室の担当者が、抜かれているパーソナルキーの数と入域者の数が合っていることを確認し、内側のインターロックドアを開錠する(鳥かご方式)。なお短期停止後の立ち上げ時に退避確認をする場合は、この方式をとる必要はない。
- PPS構成要素
PPSの構成要素としては、以下のものが考えられている。
- 非常停止ボタン
- 退避確認
- パーソナルキー
- 放射線モニター(管理区域境界)
- 排気・循環空調システム
- 排気モニター
- インターロックドア(電気錠)
- リミットスイッチ
- 重要な偏向電磁石
- ビームプラグ
- マスターキー
- ビーム強度モニター
- 今後の課題
10通りもある運転パターンにあわせたロジックの構築、インターロックが起こった場合の加速器の停止方法、メンテナンス時のシナリオ、運転停止後のサーベイをどう扱うかインターロックに組み込むか、またトンネル内空気中放射性同位元素濃度の信号をどうするか(排気可能時期、入域可能時期の設定)等が今後検討していく課題である。
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Yoshinori Sato
平成14年9月11日