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4.2.1 全体設計、要求

K-hallのビームダンプは、エネルギー50 GeV、パワー750 kW、入射陽子数 $3.0\times 10^{14}$ pppのビームをすべて受け止めるので多量の放射線、エネルギー寄与による発熱が予想される。ビームダンプの概念的な構成を図4.8に示す。このビームダンプはコア部がグラファイトであり、それを包むように銅、鉄で構成されている。コア部のグラファイトは密度が低く、熱伝導率も $100[W/(m\cdot K)]$前後であり、発熱が分散され高温になることを防いでいる。しかしグラファイトは酸素雰囲気で、380$^{\circ}$C以上では酸化し、それによる体積の減少が懸念されている。従って、380$^{\circ}$C以上で運転する場合、少なくともコア部は真空中または不活性ガス中に封じ込めるなどの対策が必要になる。その上で、効果的な冷却システムや各種の安全に配慮しなければならないなど設計、製作、保守運転上格段に難しくなるので、好ましくない。よって現在の設計方針は大気中でも運転が可能であるよう、コア部の最高温度を380$^{\circ}$Cより十分低くなるような物質や冷却システムの配置を模索している。K-hallは現在第一期、二期に分けて工事が進んでいる。そのため、第一期に据え付けたビームダンプは第二期の工事で撤去され、ビームラインの下流に再構築される。解体工事に伴う多大な放射線被曝が憂慮されるので、これらをすべて安全に移動できる装置と方法の確立が望まれている。

図 4.8: K-dumpの形状(案)
kdumpconfiguration.jpg


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Yoshinori Sato
平成14年9月11日