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原子核素粒子実験施設では、極めて純度の高い2 GeV/c までのK中間子を、安定に実験に供することが想定されている。静電型粒子分離装置(ES (Electrostatic)セパレータ)は、一次ビームライン上の生成標的から発生する様々な二次粒子の中から、目的とする数 GeV/cまでの荷電粒子を選別し実験エリアに導くために、必須の二次ビームライン要素である。
ESセパレータは、二枚の対向平面電極に正と負の高電圧を加えることにより高電場を発生させ、荷電粒子の速度を弁別する装置である。ある運動量においては、電場と直交する磁場を生じる双極電磁石と組み合わせる事によって、荷電粒子を質量毎に選別する事が可能となる。ESセパレータの主な特徴と構成要素、運転形態等は以下の通りである。
- 対向平面電極はビームの進行方向に数 mの長さを有し、電極幅はおよそ30 cm、電極間の間隙は10-15 cmである。材質は陽極側がSUS、陰極側がアルミニウムで、運転時にはそれぞれの電極に+300 kVと-300 kV程度の電圧をかける。
- 電極は真空容器に収められ、容器の到達真空度は
torr以下、Heリーク量は、
以下が求められる。さらに、膜等に起因した多重散乱による粒子分離能率の低下を避けるために、ESセパレーターも含めて可能な限り二次ビームライン全体が真空で繋がっていることが要求される。
- 絶縁ガスとしてNe-He混合ガスを加え、容器内真空度を
torr程度に保ちながら使用する。従ってガス圧の自動調整機構が必要である。
- コッククロフトウォルトン型の高電圧発生装置を真空容器に固定し、ケーブル等を介さずに電極に直接高電圧を供給する。
- 運転開始時には、電圧を加える過程でコンディショニングが必要である。定常運転に入った場合、加速器の1マシンサイクル(2-3週間程度)の間は、放電等が少ない安定な状態が続くことが望まれる。
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Yoshinori Sato
平成14年9月11日