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6.5.2.1 空調負荷に関する重要な追加

以上の計算で空調熱負荷を計算すると、SYのみですでに1 MWに近い値となる。これは少し大きな値である。そこで空調熱負荷を低減する処置を講ずる。上記の議論は

  1. 単純に電源と磁石を一対一に対応させて配線している。
  2. 磁石位置を電源からほぼ200 mで量子化している。
という点で改良の余地が大きくある。特にニュートリノビームライン建設時に新たに導入された三線配線方式を導入することにより、ケーブル本数を約75%、ケーブル発熱を約半分に減少させられる。特にQ磁石に関しては、二台がほぼ同じような電流値で運転されるQダブレットとして使用されることが多いので、この三線配線のメリットは大きい。また水平あるいは垂直偏向電磁石は、現在全て二台に分割されて設置される設計となっている。これを直列負荷とし、電源も二台直列に運転することにすれば、ケーブル本数並びにケーブル発熱をそれぞれ半分にする事ができる。これに加えて電磁石位置を細かく取り扱うことにより、全体のケーブル発熱の推定値を多少は減少させる事が可能である。実はこの処置は、比較的下流部分に設置される磁石が多い、二期設備において大きなケーブル発熱の減少をもたらす。

逆に全体の発熱を増大させる要因として、電磁石コイルのMIC化があげられる。MICは耐放射線性が良好であるのでできるだけ多くの磁石に採用したい。しかしコイルの線積率の減少が避けられない。この事は通常コイルに比較してターン数が減少するため励磁電流の増大、ひいては全電力の増大をもたらす。

実は上記要因を考慮に入れた熱負荷設計は現在最終局面にあり、間もなく結論が得られる予定である。現状としては、全一次磁石にMICを用いた場合でも三線配線等を用いる工夫を施すことにより、325平方ミリを使った場合、

1. ケーブル負荷は全熱負荷の2.4%程度まで減少させることができる。

これまでのクライテリア(全熱負荷の3%がケーブル発熱、2%が冷却水リターンなどからのその他の熱負荷)を適用すると、結局、

2. 空調負荷は全熱負荷の4%程度
で十分である。ただしサブトンネル内の局所空調は相変わらず必要である。

また全熱負荷はSYで約0.7 MW、K-hallでも約1 MW増大する。これは全くMICをこれまで熱計算にとりいれてこなかったツケを支払っているのである。以上のような観点で修正した熱負荷表の最新版を、この項の最後の表6.7として付加する。

表 6.7: 電力見積り(修正版)
heatestimation_add.jpg



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Yoshinori Sato
平成14年9月11日