next up previous contents
Next: 6.5 熱発生と冷却水、空気調和の設計 Up: 6. 設備関係 Previous: 6.3.2 K-hallクレーン

6.4 電気室と受電設備

ビームライン電磁石電源の電気設備は、図6.5に示すエリアにあり、電気設備は屋外ヤード部分と建物の部分に配置される。屋外ヤード部分には高圧受電用の変圧器が配置される。建物部分は電気室と電源室からなる。電気室には高圧受電開閉器、遮断機等及び低圧配電用の遮断機(ブレーカ)が配置される。電源室にはビームラインの電磁石を励磁する直流電源が配置される。電源室への電力の供給は、電気室から配電用ブレーカを通して行われる。そのブレーカは1000アンペアを単位として行われる。

図 6.5: 原子核素粒子実験施設電器設備
powerstation.jpg

電磁石電源は加速器から取り出される陽子ビームのエネルギーに合わせて運転される。現在予測される運転モードは30 GeV, 40 GeV, 50 GevV であり、初期は30 GeV の運転が想定されている。電磁石への電流は50 GeVを100%とすると、30 GeV時は約61%、電力としては約37%となる。これら運転モードに柔軟に対応して、効率の良い電磁石電源の運転が必要である。そのために運転モードに合わせて、電磁石電源のタップチェンジ、あるいは交換等が必要となる。これら電磁石電源の容量は100 kW程度から500 kWの容量である。一次400ボルトラインにおける各電源の入力電流は100から900アンペア程である。このような電源装置に対しての電力の供給配線は、250〜325 $mm^{2}$のケーブル(3個撚り)を1本または2本パラレルで使用する。数台の電磁石電源に対してそのケーブルから分岐供給する。電磁石電源からの出力である直流は、極性を変更する必要のある電磁石を除き、2台の電磁石と2台の電源を1組にして3線式の配線を行い、中性線の電流の低減(キャンセル)によりケーブルの発熱量を減少させる。

電磁石電源の配置で考慮するべき点は以下のことです。

  1. 電気室からの電力の受電ケーブル、電磁石へのケーブルで無駄な迂回等が生じない様にする。
  2. 電磁石電源の維持管理作業が行えるように、1台1台の前後左右に適切なスペースを確保する。
  3. 電磁石電源の交換作業が容易に行えるように搬入出の通路が確保される。
  4. 電磁石電源の並びはビームラインの磁石の並びと同じくし、位置を分かりやすくする
ビームラインの電磁石の運転状態がより具体的になった時に、適切な電磁石電源の容量及び設置位置が決定されるが概略は以下のとおりである。

第一電源室の2階部分は一次ビームライン上流部(EP-A)用の電磁石電源32台が設置される。(図6.6)。1階部分にはEP-B、EP-C の電磁石電源が配置される(図6.7)。

図 6.6: 第一電源室2階配置図
powerstation2F.jpg
図 6.7: 第一電源室1階配置図
powerstation1F.jpg

実験室内における電磁石電源の配置については、二次ビームラインの設計が進行中であり、全てのビームラインの電磁石電源の設置位置は確定していない。プライマリー部分(EP-A)の下流用電磁石電源の設置位置は、ビームラインの電磁石、実験装置、またそれに付随するシールドが配置された残りのスペースがあてられる。その結果、電源装置の設置で考慮するべきことは以下の点となる。

  1. 広い設置スペースは無い、維持管理作業の容易さを考慮し配置する。
  2. ビームライン電磁石との距離を短くし、ケーブルのコスト低減を図る。
  3. 電磁石電源の冷却、換気に注意する。
現在、実験室における電源ステージ、電磁石電源の配置図を図6.8に示す。 1階部にEP-Aの下流部分の電磁石電源が設置される。2、3、4階部分にはEP-B, EP-C, 二次ビームラインの電磁石電源が配置される。
図 6.8: 電源ステージ配置図
powerstationstage.jpg


next up previous contents
Next: 6.5 熱発生と冷却水、空気調和の設計 Up: 6. 設備関係 Previous: 6.3.2 K-hallクレーン
Yoshinori Sato
平成14年9月11日