ビームライン電磁石電源の電気設備は、図6.5に示すエリアにあり、電気設備は屋外ヤード部分と建物の部分に配置される。屋外ヤード部分には高圧受電用の変圧器が配置される。建物部分は電気室と電源室からなる。電気室には高圧受電開閉器、遮断機等及び低圧配電用の遮断機(ブレーカ)が配置される。電源室にはビームラインの電磁石を励磁する直流電源が配置される。電源室への電力の供給は、電気室から配電用ブレーカを通して行われる。そのブレーカは1000アンペアを単位として行われる。
電磁石電源は加速器から取り出される陽子ビームのエネルギーに合わせて運転される。現在予測される運転モードは30 GeV, 40 GeV, 50 GevV であり、初期は30 GeV の運転が想定されている。電磁石への電流は50 GeVを100%とすると、30 GeV時は約61%、電力としては約37%となる。これら運転モードに柔軟に対応して、効率の良い電磁石電源の運転が必要である。そのために運転モードに合わせて、電磁石電源のタップチェンジ、あるいは交換等が必要となる。これら電磁石電源の容量は100 kW程度から500 kWの容量である。一次400ボルトラインにおける各電源の入力電流は100から900アンペア程である。このような電源装置に対しての電力の供給配線は、250〜325 のケーブル(3個撚り)を1本または2本パラレルで使用する。数台の電磁石電源に対してそのケーブルから分岐供給する。電磁石電源からの出力である直流は、極性を変更する必要のある電磁石を除き、2台の電磁石と2台の電源を1組にして3線式の配線を行い、中性線の電流の低減(キャンセル)によりケーブルの発熱量を減少させる。
電磁石電源の配置で考慮するべき点は以下のことです。
第一電源室の2階部分は一次ビームライン上流部(EP-A)用の電磁石電源32台が設置される。(図6.6)。1階部分にはEP-B、EP-C の電磁石電源が配置される(図6.7)。
実験室内における電磁石電源の配置については、二次ビームラインの設計が進行中であり、全てのビームラインの電磁石電源の設置位置は確定していない。プライマリー部分(EP-A)の下流用電磁石電源の設置位置は、ビームラインの電磁石、実験装置、またそれに付随するシールドが配置された残りのスペースがあてられる。その結果、電源装置の設置で考慮するべきことは以下の点となる。