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6.3.1 スイッチヤードクレーン

スイッチヤード上流部は幅8 m、高さ6 mで長さ約75 mのスロープ部で5 m上昇し、再び水平に戻り下流部の幅16 m、高さ6 m部分に接続する。上流部、下流部ともに1基20トンの吊り上げ荷重のサスペンション型クレーン2基を擁し、連結することで40トンの吊り上げ荷重を確保する。サスペンション型にすることで8 mと16 mのスパンが変わる部分でレールを共有することができ走行範囲のオーバーラップを可能とし、電磁石設置に支障ない構造とする。

上流部は当初スロープ部分の走行のためラックギアを用いたアプト式を用いる予定であったが、50GeV取り出し部分の保守性の向上を図るため、図6.1に示すように遅い取り出し用セプタム電磁石を含んだ走行範囲を確保することになった。このためスロープより上流側の水平部分はアプト式で用いるモーターとは別の比較的小型のモーターに切り替えての走行となる。この小型モーターを用いるため走行レールの旋回対応(R=30 m)が可能となり、加速器側を含めた50GeV取り出し部分のほとんどの電磁石を走行範囲内に入れることができる。ただし、旋回対応にするためにはモーターの速度制御が必要になる。また、ラックギア付きレールからラックギアなしの通常のレールに切り替える必要も生じる。速度制御については、加速器運転中トンネル内は強度の放射線環境であり、半導体を用いた速度制御を用いることは困難なので機械の遊びやすべりを用いた旋回部分の走行が検討されている。また、スイッチヤードのクレーンは通常1基毎に動作するが20トンを越える負荷の場合、上流部については図6.2、下流部については図6.3に示すクレーンを連結して走行時同期運転を行なう。このための制御装置は非半導体のものにするか、あるいは使用時のみトンネル内に持ち込む形にするか決める必要がある。ラックギア付きレールへの切り替えについては確実で円滑な方法を採用する必要がある。

保守、点検についても放射線環境であることを考慮しなければならない。一般的には保守、点検のためクレーンの機械部分に足場が備えられるが、特殊な環境であり仮設の足場を構築することで対処することとした。この場合も放射化が大きい場所を避ける位置にする等、被曝の低減を考慮する。

また、空調の区画、立入区域の区画のためスイッチヤードと50GeVとの間および、K実験室との間には加速器運転時に密閉可能な物理的障壁を設けることになっている。保守時には、クレーンはその障壁を通過させる必要があり、その両立を行える機構を考慮する必要がある。

図 6.1: SYクレーン走行図面
sycrane.jpg
図 6.2: SY上流クレーン図面
sycrane_upstream.jpg
図 6.3: SY下流クレーン図面
sycrane_downstream.jpg


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Yoshinori Sato
平成14年9月11日