今回の測定では、モックアップ電磁石をビニールで囲って励磁試験を行い、各部分の温度変化と熱の流れを解析した。電磁石系から空気への熱流入量が定量的に求められた電磁石の発熱量のうち、大部分は冷却水によって持ち去られ、空気の温度上昇に寄与する割合は0.1%程度であることがわかった。過去の経験より、ビームライントンネル内の空調に必要なパワーは、電気ケーブルの発熱を考えると電磁石の出力の約5%程度と見積もっておけばよいという目安があり、これは十分安全側の値となっている。
電磁石の鉄ヨークや、コンクリート壁の発熱は結局のところヨークが触れている空気の温度に追従しているようであるから、空調に十分なパワーがあれば実際の現場では問題にならないのではないかと思われる。
今回は熱電対の数が限られていたが、サーモトレーサなどが利用できれば電磁石全体の熱分布や熱の流れなどを詳細に測定することができるであろう。