next up previous contents
Next: 7.2.5.2 解析結果 Up: 7.2.5 データ解析 Previous: 7.2.5 データ解析

7.2.5.1 フィッティングに用いた計算モデル

ある系に流入する単位時間当たりの熱量を $q_{in}(\theta)$(W)、外部に流出する熱量を $q_{out}(\theta)$(W)とし、温度に依存する関数とする。この系のある時刻での温度を$\theta(t)$とすると、熱のバランス条件より

\begin{displaymath}
q_{in} - q_{out} = k \frac{d \theta}{dt} \quad (k \equiv C \rho V)
\end{displaymath} (7.1)

ここでCは比熱 $[J/(g\cdot K)]$$\rho$は密度$(g/cm^{3})$、Vは体積$(cm^{3})$である。また、熱源からの発熱量が一定であり、流出する熱量が温度の一次関数であると仮定すると境界条件より
$\displaystyle q_{in}$ $\textstyle =$ $\displaystyle P \quad (W)$ (7.2)
$\displaystyle q_{out}$ $\textstyle =$ $\displaystyle \alpha (\theta - \theta_{L}) \quad(W)$ (7.3)

となる。ここで$\alpha$は系全体で積分された熱伝達係数[W/K]である。

電磁石の電源をオフした場合には$q_{in}=0$となり、一階の微分方程式の解と境界条件から

\begin{displaymath}
\theta(t) = \theta_{L} + \Delta exp(-\frac{a}{k}t)
\end{displaymath} (7.4)

となることがわかる。ここで$\theta_{L}$$\Delta$は磁石運転前の温度および温度上昇である。 この関数形で測定データをフィットすることにより、熱伝達係数$\alpha$が求められる。電磁石の電源がオンの場合には
\begin{displaymath}
P - \alpha (\theta - \theta_{L}) = k \frac{d\theta}{dt}
\end{displaymath} (7.5)

となり、系が熱平衡状態に達すると $\frac{d\theta}{dt} \rightarrow 0$となることから
\begin{displaymath}
P = \alpha (\theta_{H} - \theta_{L})
\end{displaymath} (7.6)

となり、系に流入する熱量が求められる。ここで$\theta_{H}$は平衡状態に達した時の温度である。

実際のフィッティングではexp型だけではうまくフィットできない部分があり、その場合には二次の多項式も付け加えてフィットを行なった。フィッティング関数は以下の通りである。

\begin{displaymath}
\theta(t) = \left\{ \begin{array}{ll}
\theta_{0} & \mbox{$...
...+ P_{2}(t-t_{0})) & \mbox{$(t\ge t_{0})$}
\end{array} \right.
\end{displaymath} (7.7)


next up previous contents
Next: 7.2.5.2 解析結果 Up: 7.2.5 データ解析 Previous: 7.2.5 データ解析
Yoshinori Sato
平成14年9月11日