** 第15回社会福祉士国家試験合格体験記 **

* 田上さん *



 

受験体験記「駄馬がゆく」

目次
     1.はじめに

     2.駄馬の歩き方

1)問題中心アプローチ
2)メーリングリスト
3)西福ステップ
4)高速音声学習
5)潜在能力?
     3.駄馬の足跡

     4.駄馬の回想

1)虎穴に入らずんば合格を得ず
2)早起きは三問の得
3)急がば急げ
4)論より単語
5)知らぬが放っとけ
6)百聞は百見に匹敵す
7)果報はもぎ取れ
     5.あとがき

1.はじめに

全13科目にもわたる、膨大な範囲から出題される社会福祉士国家試験。福祉専門職と呼ばれる人達や、大学などで基礎から福祉を勉強した人達にとってさえ難関の試験だと聞いています。ましてや福祉の素人、異業種からの挑戦となるとなおさらのことでしょう。仮に前者のような方たちを、尊敬を込めて福祉の「サラブレッド」に喩えるならば、後者に属する僕は「駄馬」といえるかもしれません。

この駄馬は何を思ったか、今から約2年ほど前に高い山を目指して「パカラッ、パカラッ」と歩み始めました。そして、険しい道のりではありましたが、仲間のサラブレッドや駄馬たちとともに、時には導かれ、時には励ましあい、なんとか山頂までたどり着くことができました。今回の長旅を通して駄馬が感じたこと、考えたことなど、他愛ないことではありますが、以下に綴ってみたいと思います。

(以下に述べますことは体験に基づいた、あくまでも個人的な考えであることをあらかじめおことわりしておきます。)
 

駄馬のプロフィール

・養成機関    :専門学校 西広島福祉学院 8期
・合格した試験:第14回社会福祉士国家試験
・自己採点    : 
福祉新聞           117 点
LEC              120 点
東京国際福祉専門学校  115 点
日総研            112 or 113 点


2.駄馬の歩き方
駄馬には福祉の知識も才能もありません。あるのは「社会福祉士になりたい」という、情熱にあぶり出された願望だけでした。願望だけで猪突猛進して勝負できるほど若さも体力も知力も時間もないので、「いかに効率よく勉強するか」という戦略を立て、それを「いかに計画的に実行するか」ということが、駄馬にとっては命綱ともいえる課題でした。
1)問題中心アプローチ
まずは学習素材選びです。テキスト、過去問、ワークブック、必携、小六法、用語集等々、有力選手たちが顔を並べています。どれも百戦錬磨のつわもの達ですが、駄馬は迷わず過去問を中心にすることに決めました。そして、第一参考書にはワークブックを選びました。ワークブックは、出題実績など明確に過去問との関連づけがなされていたからです。もちろん小六法、用語集は必須アイテムとして随時利用しましたが、必携はたまに参照する程度、テキストにいたってはほとんど使いませんでした。(もちろん、テキスト、必携などの素晴らしさはいうまでもありません。時間的余裕や基礎知識のなさ等諸々の制限の中で、「国家試験合格」という目標を短期間で達成するために、駄馬は自分にあった方法として上記のような選択をした、というだけのことです。)

  過去問を中心にした理由は単純です。資格試験とは、専門職として必要な最低限の知識が問われるものだと思うからです。つまり、過去問を利用することで、エッセンス中のエッセンスを効率よく学習することができるはずです。制度改正や出題方式の変化にはもちろん注意しなければなりませんが、基本的な考え方などは変わらないはずです。もしこの部分が根底から変わってしまうのならば、つまり過去問がまったく役に立たないような試験ならば、それはそもそも資格試験としての意味をなくしてしまうのではないでしょうか。

  過去問に限らず問題を中心にすることには、もう一つ別の効率性をみることもできます。実際の問題にはある種のダイナミクス(動的性質)があると思われるからです。単に要素的な知識だけが問われる問題というのは、特に近年では少ないのではないでしょうか。要素的な知識だけではなく、要素間の関係性も押さえなくてはなりません。この要素間の関係性こそが実際の問題の持つダイナミクスといえるのではないでしょうか。

しかるに、例えば整然と要点がまとめられているような参考書では、静的(要素的)な知識を得るには最適なのですが、整然とまとまっているがゆえに、実際の問題が持つダイナミクスを犠牲にせざるを得なくなっています。そのため、極端な場合にはいくら静的な知識としては知っている内容でも、ダイナミクスを含んだ実際の問題として出題された時には必ずしも解けるとは限らない、ということも起こり得るのではないでしょうか。それならば、まず静的な知識を学習したあとに更にダイナミクスを学習するよりも、実際の問題を中心に学習することによって、最初からダイナミクスを含んだ知識を得た方が効率的だといえるかもしれません。

このように、ダイナミクスを重視して実際の問題を中心に学習していく方法を、駄馬はちょっと気取って「問題中心アプローチ」と名づけてみました。この方法だと、ある意味バラバラなまだら状の知識(このような知識を「脳血管性まだら痴呆」をもじって「駄馬性まだら知識」と呼んでいます)を積み上げていくという面もあるので、最初のうちは「本当に大丈夫だろうか?」と不安に思うかもしれません。しかし、徐々にまだら状の知識が密になり、あたかも自己組織化現象を起こすかのようにつながっていくから不思議なものです。

2)メーリングリスト
仕事をしながら通信教育で勉強するというのは、正直言って結構きついものがあります。日々の仕事をこなすのに精一杯で勉強が手につかなかったり、やる気がなくなったり、だらけてしまうこともあります。まさに「孤独との戦い」といった面もあります。しかし、情報交換したり、励まし合ったり、刺激し合ったりできる仲間がいると、状況はまったく違ってきます。

そこで駄馬は、たんぽぽネットに参加させていただいたり、養成校「西広島福祉学院」の通信生を中心としたメーリングリスト「西福ネット」を立ち上げたりしました。たんぽぽネットのレベルの高さはいうまでもありませんが、幸いにも西福ネットのほうも、同級生のみならず先輩や後輩、他校の方、入学を検討している方、講師の先生なども参加してくださり、予想を上回る盛況となりました。(特に講師のT.M.先生には、いろいろな面でお世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。)

メーリングリストでの情報交換は、勉強面でのプラス効果ももちろんありますが、同じ目標を持つ仲間の存在はそれ以上にかけがえのないものでした。この仲間たちがいなかったら、駄馬は無事養成校卒業、国家試験受験までたどり着けたかどうかわかりません。

3)西福ステップ
  「西福ステップ」とは、養成校の先輩、たんぽぽネットのメンバーでもあるT.G.さんの考案した「T.G.式ハイテク勉強法」から着想を得て、養成校の同級生を中心とした有志によって作成した社会福祉士国家試験のための学習支援ツールのことです。合格への「ステップ」になるように、との願いを込めて「西福ステップ」と命名しました。

具体的には、過去問とワークブックの重要項目をテキストデータにしてパソコンに取り込んだものが中心です。キーワードで検索して辞書がわりに使うのもよし、そのまま電子ブックのようにしてみるのもよし、ハイパーリンクなどを張り巡らせ関連資料をすぐに参照できるようにアレンジするのもよし、必要なところだけを印刷して持ち歩くのもよし、自由自在に編集して暗記カードや穴埋め問題を作るのもよし、応用範囲は無限大のスグレものです。

駄馬はあらかじめ、検索機能を用いて、それぞれの過去問の下に関連したワークブックの重要項目をピックアップして印刷しておきました。こうしておけば、過去問を解いたり読んだりした後、探す手間もなくその問題に関連したワークブックの重要項目に目を通すことができるのでとても効率的です。もちろん市販の解説集も併用して、「過去問を解くまたは読む→解説を読む→その問題に関連したワークブックの重要項目を読む」というサイクルを繰り返すことにしました。ワークブックの重要項目の中でも出題実績の多い項目は、問題を解き進めるにつれて何度もお目にかかることになるので、重要項目の中でも国家試験に頻出した最重要項目ほど多く繰り返し学習できる、という仕組みです。

4)高速音声学習
五感をフル活用した学習が有効だということはよく言われております。視覚だけでなく聴覚も利用するということで、覚えたいことをテープに吹き込んで繰り返し聴いた、という方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。たんぽぽネットのメンバーでもあるN.T.さんも、受験体験記の中でこの方法を紹介されています。(その体験記を読ませていただいた当時、N.T.さんに問い合わせさせていただいたことがあるのですが、本当に快く、親切に対応していただきました。この場を借りてお礼申し上げます。)

駄馬もN.T.さんをまねてやってみましたが、この方法だと例えば食事の準備や食事中、入浴中、車の運転中など、何か他の事をしながらでも学習できるので、とても有効だと感じました。駄馬は実際には、ワークブックの重要項目すべてをMDに録音してみました。総録音時間19時間弱の大作となりましたが、さて、ここからさらにひと工夫してみましょう。

MDでモノラル録音しておけば2倍速で再生することができます。2倍速で再生したものを更にモノラル録音でダビングすれば、4倍速での再生が可能になります(駄馬は4倍速で再生できる特殊なカセットデッキを持っていたので、一端カセットに落としたものを4倍速でMDにダビングして使いました)。これで19時間の内容が4時間45分に短縮されました。これなら1日に1時間35分確保すれば、3日でワークブックの重要項目すべてを聴くことができる計算になります。

駄馬は、4倍速の速聴モードでMDを聴きながら目でワークブックを追っていく、という方法でこれを実行しました。時間は出勤前の早朝をあてることにし、寝坊したときや宿直当番のときには、昼休憩などのこま切れ時間も活用しました。この方法は12月に入ってから始めて1月初旬まで続けました。のべ15回くらいはワークブックの重要項目すべてに目を通し、耳で聴いたことになります。

もちろん普通に聴くだけでも有効だと思いますが、欧米では速聴が能力開発・学習に有効だという研究論文があるようです。能力開発効果というのは短期間では実感できませんでしたが、学習効果は間違いなくありそうな気がします。なぜなら、繰り返しのサイクルを速くすることができるからです。13科目もあると、全科目一通り学習するのに結構時間がかかります。最後の科目が終わったころには、最初のころにやった科目のことはもう忘れていた、なんてことは経験したことがありませんか? 駄馬はいつもそうでした。ところが3日で全科目をおさらいすることができれば、忘却をある程度防ぐことができそうです。これは、エビングハウスの忘却曲線に照らしても納得していただけると思います。

繰り返しのサイクルを速くするには速読という方法もあり、速読の速さはちょっとコツをかじった人なら4倍速どころではないでしょう。しかし、読む題材がワークブックという重要事項がぎっしり詰まったものだったので、駄馬の場合は一つ一つの項目に引っかかってしまい、なかなか速く読み進めることができませんでした。そこで、音に合わせて強制的に目を送るという方法のほうが良かったようです。

高速音声学習に限らず、全体に目を通すサイクルを速めて繰り返し回数を多くしていくような学習方法を、速さ(speed)と繰り返し(repeat)を重視するということで、ここでは「SR指向学習法」と名付けてみたいと思います。

5)潜在能力?
とはいうものの、駄馬にとっては4倍速というのもかなりのスピードでした。耳だけではほとんど聴き取れません。目で追っていっても重要事項がぎっしり詰まっているものが4倍速で流れていくと、すでに覚えたことの確認にはいいのですが、新しいことを覚えられるという気はまったくしませんでした。では、すでに覚えたことの確認、忘却を防ぐという効果しかないのでしょうか?(これだけでも十分価値があるとは思いますが。)

駄馬は必ずしもそうではない、という気がしています。よく「潜在意識は一度でも目にしたこと耳にしたことは決して忘れない」といいます。心理学でも、「潜在記憶」というものが想定されているようです。机上での学習場面での一般的な記憶観というのは、ある物事を記銘しようと試み、その物事を時間を経た後で何度でも正確に想起できたときに「記憶できた」と自覚する、といったものだと思います。しかし、ちょっと日常生活全般を見渡すと、記憶したという自覚がまったくなくても、誰かの顔を見たり、物音を聞いたりしたときなど、何かの拍子に過去のことが突然頭に浮かんできたりするということなども実際によく経験することです。これなども「潜在記憶」と考えることができるのではないでしょうか。

それならば、この潜在記憶を利用することはできないでしょうか。例えば、ある時間内で自覚的に記憶できる量をはるかに超えた情報に接した場合、自覚的に記憶できる量はごく一部かもしれませんが、その他の部分も潜在的な記憶としてインプットされるという可能性もあるのではないでしょうか。そう考えれば、高速音声学習は、すでに覚えたことの確認や忘却を防ぐという効果以上の可能性を秘めていることになります。

そして、潜在記憶というものは、無自覚であるがゆえに自覚的に想起されることはなく、おそらく直感としてあらわれるものと思われます。よく、「わからない問題は最初に選んだ答えが正答である確率が高い」などといわれることがありますが、これなども直感としてあらわれる潜在記憶というものを想定すれば説明できる可能性があるかもしれません。

なぜこのようなことにこだわっているのかといいますと、駄馬は統一模試にせよ本試験にせよ、ほとんど「できた」という手応えはなかったのですが、結果は予想をはるかに上回る点が取れていました。運が良かったといえばそれまでですが、もしかしたらそれだけではないのかもしれない、と思った(思いたい)わけです。

もちろん試験対策としては、きちんと自覚的に記憶できている方が望ましいことはいうまでもありません。しかし、インプットさえ怠らなければ、たとえそこまでたどり着くことができなくても潜在記憶を利用できるかもしれない、つまり、直感レベルで正答に近づくことも可能なのかもしれない、という気がしないでもありません。


3.駄馬の足跡
前述のような戦略を用いながら、駄馬が実際に行なったことを紹介してみます。

試験対策として本格的に勉強を始めたのは9月初旬です。大雑把な計画として、集中的に勉強する時期を10月前半、11月前半、1月と3期に分けました。

まず9月初旬から、第13回試験の問題を少しずつ解いていきました。この時点で6割取れなかった科目は、社会保障論、公的扶助論、社会学、法学の4科目で、これらの4科目について順次第3回試験までさかのぼって解いていきました。他の科目についても第9回試験までさかのぼりました。過去問に関しては前述したとおり「過去問を解くまたは読む→解説を読む→その問題に関連したワークブックの重要項目を読む」というサイクルを繰り返し、10月22日までにここまでを終えました。第1期は、計画より少し遅れましたが、ほぼ予定通りにいきました。なお、この時期から受験前までの全体を通して、食事中や入浴中にはノーマルスピードでの音声学習を併用しています。

第2期は、第13回試験、第12回試験の2回目に入り、同時進行で中央法規の2002社会福祉士国家試験模擬問題集を一通り解いてみました。第2期も順調にすすみ、ここまでを終えた時点で11月18日の統一模試を迎えました。結果は101点、8164人中29位で、自分でもびっくりするくらい良い成績でした。

12月は仕事関係の都合で、あまり勉強時間を取れないはずだったのですが、予定が変わり、思いがけず時間を作ることができました。この時期は過去問をさかのぼりつつ、高速音声学習を始めました。1月初旬までに、過去問は、第11回試験の2回目と第13回試験、第12回試験の3回目を終え、高速音声学習では、のべ15回くらいはワークブックの重要項目すべてに目を通し、耳で聴くことができました。1月5日には一橋出版の社会福祉士国家試験模擬問題集2002(その1)を用いて自己模試を行ない、結果は125点と上々の出来です。この時期も順調に過ごせたと思います。

1月6日以降は、ペースアップして追い込みをかける予定でしたが、不測の事態に陥り逆にペースダウン。細々と過去問を解くのが精一杯で、第11回試験の3回目、第10回試験、第9回試験の2回目をなんとか終えるのに留まりました。大事な時期に予定が狂い、集中的に勉強することができませんでしたが、考えてみればそれまで順調に進んでこれたことの方が奇跡的だったのかもしれません。

最後に、これまでやってきたことの確認と気持ちの整理も兼ねて自己模試を行ないました。1月24日に一橋出版の社会福祉士国家試験模擬問題集2002(その2)で137点、1月26日には第13回試験で143点、と半ば無理やり上り調子のイメージを作り上げて本番を迎えました。

9月以降に取り組んだ問題のまとめ(繰り返しもカウントして、のべ 3190問)
・第13回試験               : 4回
・第12回試験、第11回試験  : 各3回
・第10回試験、第9回試験   : 各2回
・第8回〜第3回試験        : 苦手4科目について各1回 
・社会福祉士会主催の統一模試:1回
・中央法規の2002社会福祉士国家試験模擬問題集:1回
・一橋出版の社会福祉士国家試験模擬問題集2002(その1)(その2): 各1回

4.駄馬の回想
  以下は思いつくまま、気のままに・・・・
1)虎穴に入らずんば合格を得ず
社会福祉士国家試験に合格する秘訣を一言で述べよ、といわれたならば、おそらく「苦手科目を減らすこと」と答えるでしょう。8点を10点にあげると2点のアップですが、0点を2点にあげても同じく2点のアップです。同じ2点のアップには違いありませんが、果たしてどちらが楽でしょうか。

いくら得意科目だとしても、8点から10点にあげるのは至難の技だと思います。一科目中1〜2問は難問・奇問が含まれる可能性もあります。それに比べて、0点から2点にあげるのは比較的容易なのではないでしょうか。これは、点数を円の半径に、その点を取るために必要な知識量を円の面積に喩えてみるとイメージしやすいかもしれません。

例えば、半径2cmの円の面積は約12平方cmですので、0点から2点に挙げるためには約12平方cm分の勉強をすれば良いわけです。一方8点から10点に挙げる場合はどうでしょうか。半径10cmの円の面積314平方cmから半径8cmの円の面積約200平方cmを引いて、約114平方cm分の勉強が必要となります。つまり同じ2点でも必要な勉強量が何倍も異なるわけです。それならば、点数の低い苦手科目から克服していくほうが効率的といえそうです。

そうはいってもとっつきにくいのが、苦手科目の苦手科目たるゆえんだと思います。駄馬の苦手科目は社会学、法学、社会保障論で、特に社会学などはチンプンカンプンでした。でも心配はいりません。一概にはいえないかもしれませんが、社会学、法学、医学一般、心理学といった一般科目を苦手科目とする人が多いのではないでしょうか。もしそうならば、これらの科目は過去問が通用する科目ですので、過去問さえしっかり押さえておけば十分6割を狙えます。たとえ6割に届かなくても、4〜5割レベルに達することはそれほど困難ではないと思います。4〜5割取ることができれば、得意科目ですぐに挽回できますので、大きく足を引っ張ることにはならないでしょう。駄馬の場合は、幸運にも助けられて自己採点で社会学8点、法学7点、社会保障論5点を取ることができました。

2)早起きは三問の得
仕事や家庭を持ちながら勉強している人が一番苦労するのは、どうやって時間を作るか、ということではないでしょうか。そして、忙しい人が確実に確保できる時間、それはなんといっても早朝ではないでしょうか。

駄馬の養成校の先輩であるY.H.さんという方は、受験準備に入ってからは最低でも一日に一問は必ず問題を解くように心がけたそうです。駄馬もY.H.さんに倣ってチャレンジしてみようと思い、早朝をその時間にあてました。

具体的には、西福ネットで「過去問一日一問」というシリーズを企画し、原則毎朝、問題をアップしました。このシリーズは4月4日から始めて、途中中断をはさんで11月24日まで続けました。これだけで、本格的に受験準備に入る5ヶ月も前から、ほぼ毎朝確実に過去問を一問解くことができたわけです。結局、第12回試験の問題を事例を除いてすべてアップすることができました。

問題に限らず、ほんの少し早起きして自分の勉強時間にあてるという習慣を早くから身につけておくことは、間違いなく「得」だと思います。仮に毎朝問題を三問ずつ解いていって「三問の得(解く)」をしたならば、その効果は決して「三文の得」どころではないと思います。

3)急がば急げ
テキスト全巻を読破し、基本からキッチリと積み上げて、あまねく参考文献にも目を通し幅広い知識を確実に身に付けていく・・・、そんな勉強方法が理想であることは間違いありません。しかし、諸々の制限の中で勉強している駄馬にとってはちょっと無理のようでした。そこで姑息にも手っ取り早く点が取れるような戦略を練りました。

とりあえず合格を目指すのならば、回り道をしている余裕はありません。急いでいるときには、心のままに急ぎましょう。有資格者として恥ずかしくない知識、それは合格してから少しずつ身に付けるということで、勘弁してください。

4)論より単語
養成校の課程が始まって、まず驚いたのは「知らない単語がたくさんある〜!」ということでした。社会福祉事業?なんだそれは?といったレベルです。英文を読む場合でも、ある程度の単語力があれば、少しくらいわからない単語があっても文章全体の内容を把握することはできますが、わからない単語があまりにも多いと、全体の把握もままなりません。

そんな駄馬にとって、とても重宝したのが用語集です。サラブレッドの方から見ればとても次元が低いかもしれませんが、駄馬と同じようなレベルから勉強を始められる方には用語集はオススメです。駄馬のお気に入りは、中央法規「新版 社会福祉用語辞典」でした。

5)知らぬが放っとけ
それにしても、13科目というのはあまりにも多いですよね。すべてを完璧にマスターするなんてお釈迦様でもできないのではないでしょうか。いわんや駄馬においてをや。

そこで駄馬はすかさず開き直りました。勉強を進めていく上で、わからないことにたくさん出会いますが、ちょっと調べてもわからないようなことは、とりあえず放っておいて先に進んでいくことにしました。初期の段階からあまり細部にこだわって時間を費やすより、とりあえず大雑把でもいいので全体に目を通すことを優先しました。

本を読む場合でもそうだと思うのですが、例えば一冊の本を10日かけてじっくり読むより、一日でサッと読んでそれを10回繰り返す方が、はるかに良く頭に入ります。スピードとリピートを重視するSR指向学習法を実践するには、少しくらい知らないことやわからないことがあっても、気にせず放っておくという開き直りも大事だったようです。

6)百聞は百見に匹敵す
例えばビートルズのイエスタデイという曲が好きで小さい頃から何度も聴いているような人は、たとえyesterdayという単語の意味を知らなくてもイエスタデイという言葉の「聞こえ」は知っています。この人が中学生になって英語の勉強を始めた時、おそらくいとも簡単にyesterdayという単語をマスターすることができるでしょう。言葉の「聞こえ」を知っている状態から意味を学習するのは、何も知らない状態から学習するよりはるかに効率がいいといえそうです。音声学習には、このような学習促進効果も期待できるのではないでしょうか。
7)果報はもぎ取れ
やろうと決めたことは、何がなんでもやり通す。このような「気迫」も時には必要なのかもしれません。別に精神論を振りかざすつもりはありませんが、駄馬は、ささやかな自己決定を自分自身でささやかに尊重してあげたい、と思いました。そしてモチベーションを維持できるように、養成校の先輩、たんぽぽネットのメンバーでもあるT.G.さんが昨年やったことをまねて、「何がなんでも一発合格する」とメーリングリストでも公言して自分を追い込みました。自分で決めたことですので、うまくいかなかった時はすべて自分の責任、恥をかくことも覚悟していました。幸いにして公言通りの結果となったのですが、その時の達成感はまたひとしおでした。

ガムシャラさを前面に出すのはあまりスマートでない、と思われる方もおられるかもしれません。しかし、社会福祉士国家試験合格までの道のりは険しいもので、駄馬の場合には、「何がなんでも…」という気迫が苦しい時の支えになってくれたような気がします。


5.あとがき
何か新しいことを始めるのには、かなりのエネルギーが必要です。このエネルギーの源は、いったい何なのでしょうか?答えはいろいろ考えられるかもしれませんが、駄馬は一応「情熱」といってみたいと思います。

この情熱にあぶりだされて、「社会福祉士になりたい」という願望が生まれました。願望につき動かされて、社会福祉士になる方法についての情報集めが始まりました。この願望は高まってくるにつれて、「社会福祉士になる」という決意に変わっていきました。決意が固まると、自然な流れで具体的な行動計画が生まれました。そして、計画を実行していくに従って、「社会福祉士になる」という決意は「社会福祉士になれる」という確信に変わりました。そして、その確信は現実のものとなり、駄馬は「社会福祉士になった」のです。

一貫して流れる情熱が、願望(社会福祉士になりたい)⇒決意(社会福祉士になる)⇒確信(社会福祉士になれる)⇒現実(社会福祉士になった)、と姿を変えていきました。情熱にはこのような発展段階があるのかもしれません。夢を実現する力があるのかもしれません。

一人でも多くの方の夢が実現することを願っております。だらだらと長く、まとまりのない「駄馬がゆく」を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。今回の旅を通じて知り合うことのできたみなさん、何かの縁でふれあう事のできたみなさん、お世話になったみなさんに、深く感謝申し上げます。

 


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